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栄養科通信vol.196「果物の適量」

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秋になるとブドウや柿、梨など多くの果物が旬を迎え、スーパーで購入したり、人から貰ったりして、果物を食べる機会が増える方も多いのではないでしょうか。
糖尿病患者さんの栄養指導を行っているなかでも、特に今の時期は果物をたくさん食べて血糖値が悪くなった!という患者さんが多いように感じます。
果物にはビタミンや食物繊維など体に良い成分がたくさん含まれている一方で、糖分(果糖やブドウ糖など)を多く含むため食べ過ぎは禁物です。

<果物の適量>
・一般の方
厚生労働省は健康寿命の延伸や生活習慣病の発症予防等の推進を図るため、日本人の食物などの摂取目安量を定めた「健康日本21」では果物は1日200gを摂取することを目標にしています。
・血糖値が高めの方
日本糖尿病学会では、糖尿病のある方への果物の摂取目安を1日1単位(80kcal)としています。
~80kcalの目安~
                              糖尿病食品交換用第7版より引用

果糖やブドウ糖は、短時間でエネルギーに変換されるので、夜よりも活動量の多い朝や昼の食後に摂取することをおすすめします。

果物は適量であれば糖尿病のある方でも摂取することが可能です。
1日の量を守って食後のデザートに取り入れ、旬の味を楽しみましょう。

※腎臓の機能が低下している方では生の果物をたくさんとることで高カリウム血症を招く恐れがあるので注意が必要です。

管理栄養士 Y.N

栄養科通信 Vol195 「楽しく糖尿病療養を続けていくために」

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糖尿病療養を長く続けるのは大変なことです。私たち管理栄養士がそのお手伝いのひとつとして糖尿病患者さんと一緒に行っていることを紹介します。

① 歩いて学ぶ糖尿病おかやま後楽園ウォークラリー
岡山県糖尿病協会やノボノルディスクファーマなどが共催していて県内の医師、看護師、薬剤師、栄養士などと、糖尿病患者さんがチームとなり約2時間の制限時間のなかで地図をもとに歩いて各チェックポイントで糖尿病にまつわるクイズに回答し、正解数とゴール時間を競うイベントです。毎年4月に開催されていて、去年私も参加して患者さんと一緒に後楽園を歩きました。患者さんの体調を見ながら適宜、水分補給のタイミングを作ったり、無理なく歩けるようにサポートを行うという役割もあるのですが、各チェックポイントで患者さんと一緒にクイズの答えを考えたり、運動療法の大切さも同時に学べるなど有意義な時間でした。過去には当院チームが1位になったこともありますが、今回は入賞できませんでした。次は頑張りたいです。

② 糖尿病料理教室
2ヶ月に1回、糖尿病患者さんやその家族を対象に開催しており、次回126回を迎える長寿イベントです。コロナ禍で中止していた期間もありましたが、再開の要望が多かったため感染対策に気をつけながら短時間で実施しています。管理栄養士が行事や旬などのテーマにそって献立を考えるのですが、去年のクリスマスには身体をあたためる効果のある食材(にんにく、しょうがなど)を使ったメニューに、サラダやデザートのデコレーションも凝ってかわいらしく仕上げました。主食、主菜、副菜をバランスよく揃えることで、糖尿病患者さんにヘルシーでも満足感のある食事ができることを体験してもらっています。日々の食生活に活かしてもらえるよう私たち管理栄養士も工夫しており、毎回好評をいただいています。
どちらも患者さんがより身近に感じられ、管理栄養士として新たな気づきができる場となっています。これからも患者さんが糖尿病療養を楽しく継続できるようなサポートをしていきたいと思います。

管理栄養士 M.T

栄養科通信vol.194 「野菜の保存方法」

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患者さんから「野菜を食べようと思って買うけれど、すぐに傷んでしまって、結局ムダになってしまう…」と聞くことがあります。野菜の保存では鮮度を保つことが大切です。野菜の呼吸数が増えると、切った部分からエチレンガス(老化植物ホルモン)が発生します。エチレンガスの分泌が続くと、野菜が熟成し過ぎて劣化し、最終的には腐敗につながります。野菜の呼吸を減らすために、日光の当たらない暗い場所で、低温で保存するのがよいです。今回はそれぞれの野菜で最適な保存方法をお伝えします。

① キャベツ、レタス
芯は水分が多いため、丸ごと保管の場合は芯をくりぬいた後に濡らしたキッチンペーパーを詰めて、新聞紙で包み野菜室に保存しましょう。カットの場合は断面から傷んでくるので、一度に使い切れない場合はざく切りにし、ジップ付きの袋に入れて、冷凍保存をしましょう。

② トマト
傷みにくいヘタを下にして新聞紙で包み、野菜室で保存しましょう。青いトマトは常温で追熟してからの保存がおすすめです。

③ 小松菜
濡らした新聞紙で包み、葉を立てて野菜室で保存します。新聞紙が乾いてきたら適宜交換しましょう。

④ ピーマン
水気をふきとり、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。使いかけのものは、傷みやすいヘタと種を取り除き、ラップに包んで野菜室で保存して早めに使いきりましょう。ピーマンは冷凍することで繊維が壊れ、苦みを感じづらくなるのでカットして冷凍保存もおすすめです。

⑤ じゃがいも
直射日光はさけて、風通しの良い場所で常温保管しましょう。

食品ロス削減のためにも鮮度を保つ保存方法で美味しく保存し、無駄なく頂きましょう。野菜を上手に保存することで、食べる野菜を増やして、健康に過ごしましょう!
イラスト:いらすとや より

管理栄養士 MM

栄養科通信193「桜は 見るもの? 食べるもの?」

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春といえば桜の季節です。 倉敷平成病院の桜もきれいに咲いています。
そんな桜って、見るだけではなく、食べますよね?
桜の花はこの時期、お菓子などによく使われています。桜というと代表的なソメイヨシノを思い浮かべる人も多いと思いますが、桜の塩漬けに使われるのは濃いピンク色の八重桜なんです。 収穫した8分咲きの桜の花を洗って、塩と梅酢で漬け込みます。漬かったら水分を拭き取り、陰干しして乾燥させ塩をまぶして保存します。栄養的には花びらにはビタミンA、BやEが含まれているそうです。塩漬けになっているものをお菓子に使う場合はもちろん塩抜き必須です。
桜の他にも、「エディブルフラワー」という食用花があります。エディブルフラワーとは「Edible =食べられる」「Flower=花」、つまり『食べられる花』を意味しています。オシャレなレストランやカフェでサラダやケーキに乗っている華やかな花を見たことがありますよね。あんなしゃれた花は食べないわよ・・と思いますか?実は日本でも古くから花は食べられていました。お刺身の添えやお浸しに使われる「菊」や、胡麻和えなどにする「菜の花」、天ぷらや蕗味噌の材料である「フキノトウ」はフキの若い花茎で、桜の花を塩漬けにした「桜茶」は、御祝い事の席でよく飲まれています。そう考えると食用花も意外と身近に感じますよね。
とはいえ花なら何でも食べられるわけでなく、むしろ食べられる花は限定されます。生花店で売っている観賞用の花や庭に咲いている花は食用ではなく、あくまでも食べ物用として特別に無農薬で栽培された花に限って食べることができます。庭で育てたスイセン、アジサイ、クリスマスローズなど毒性を持つ花もあるので注意してくださいね。豪華なバラ風呂に入りたい時も、エディブルフラワーの方が無農薬で安心だそうです。

短い時期しか見られない桜を、見て食べて満喫して、今年も元気に過ごしたいですね。

栄養科 管理栄養士 A子

栄養科通信vol.192「スローフード」

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スローフードという言葉を聞いたことがありますか?
スローフードとは、伝統的な食文化を見直し、食への関心を高める運動のことです。安価で手軽に食べられるファストフードを単に否定するのではなく、日々の食生活を今一度見直すことで食を楽しもうという考え方が基本となっており、生産量の少ない食材やそれらを提供する生産者を支えていくことにもつながります。スローフード協会では、「おいしい(新鮮でおいしく健康的であること)、きれい(環境に負荷を与えない生産方法であること)、ただしい(生産に関わる者すべてに適正な賃金と労働環境を提供すること)食べ物をすべての人が享受できるように」をスローガンに掲げ、地域ごとに根付いた食材や和食などの食文化を継承していく取り組みを行っています。

スローフードのメリット
・健康的な食事につながる
糖質・脂質・塩分が多いファストフードやインスタント食品と比べて、健康面での満足度が高い。
・環境にやさしい
地産地消にもつながり、食材を輸送する際に発生するCO2を削減できる。
・伝統的な食文化が守られる

忙しく暮らす現代人にとってファストフードは欠かせないのが現状ですが、品種の減少や健康問題、労働・自然環境の悪化など、大きなデメリットも潜んでいます。お米をはじめ味噌などの調味料、伝統的な食品や各地の郷土料理、お正月などの年中行事の際に食べられる料理などを食べることもスローフードと言えます。気軽にはじめる方法としておすすめなのが休日だけスローフードです。たとえば地元の食材を選び、調理をして、その料理を味わいながら食べることもスローフードのひとつです。身近なところからスローフードを取り入れてみてはどうでしょうか。

参考:日本スローフード協会 https://slowfood-nippon.jp/

管理栄養士Y.M

栄養科通信vol.191「食品表示の豆知識」

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買い物をする際、食品表示を気にしていますか?
食品の表示には法律に基づいて明確なルールがあります。

●原材料名は「先頭」をチェックしましょう。
店頭で販売されている食品には、パッケージの原材料名はたくさん使用している順に記載するよう決められています。そのため先頭に「砂糖」と記載されているものは何よりも砂糖が多く入っているということになります。

●賞味期限と消費期限を確認しましょう。
・賞味期限=「品質が変わらずにおいしく食べられる」期限
比較的品質が劣化しにくい商品(スナック菓子、カップ麺、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料など)に表示
・消費期限=「安全に食べられる」期限
品質の劣化が急速にすすむ商品(弁当、サンドイッチ、生麺、ケーキなど)に表示

●カロリーゼロは本当にゼロキロカロリー?
カロリーにも表示基準があります。
100mlあたり20kcal未満で「カロリーオフ」や「低カロリー」などの表示ができ、100mlあたり5kcal未満で「ノンカロリー」や「カロリーゼロ」の表示ができます。
カロリーオフという言葉に安心して500mlのペットボトル1本を飲んだら、実は100kcal近く摂取していたということにもなりかねません。
言葉の影響に惑わされず、栄養成分表示を確認する習慣をつけましょう。

参考
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0929-7a.html
農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syouan/syoku_anzen/bimi/r0212/limit.html
消費者庁 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/

管理栄養士 Y.N

イラスト:イラストAC

【当院 栄養科小野詠子科長(管理栄養士)が令和5年度倉敷市保健福祉功労者表彰をうけました】

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令和5年11月2日(木)、倉敷市保健福祉功労者市長表彰式がくらしき健康福祉プラザ(倉敷市笹沖)で行われました。
「倉敷市保健福祉功労者表彰」は、長年にわたり倉敷市の保健福祉に貢献した個人や団体などを表彰するものです。今回は104人の個人と25団体、4つの施設が表彰されたとのことです。
 当院職員 栄養科小野詠子科長(管理栄養士)は 栄養士として栄養改善事業功労の分野で表彰されました。小野栄養科科長は、管理栄養士であるとともに糖尿病療養指導士として、当院倉敷生活習慣病センターでの栄養相談や糖尿病料理教室等の運営の中心的存在として活躍しています。

秘書広報部

 

栄養科通信vol.190 「食習慣でエイジングケア」

カテゴリー: 栄養科 | 投稿日: | 投稿者:

10月は気候も良く過ごしやすいですが、夏の紫外線によるダメージや、気温、温度の低下で肌トラブルや悩みが多い季節です。
また、年齢を重ねることで、肌にハリがなくなったり、シワやたるみが気になってくる方も多いと思います。
老化の原因とされているのは、日頃体内に取り込んでいる酸素が活性酸素に変化し、過剰に発生することによる体の酸化、糖分の過剰摂取により急激に血糖値が上昇することで起こる体の糖化、加齢によるホルモンの減少が挙げられます。

トラブルが起きやすくなった肌に潤いを与えてお手入れをすることを「エイジングケア」と呼びます。
エイジングケアはスキンケアをイメージしますが、それ以外に食習慣の改善も効果的であると考えられています。
エイジングケアにつながる食習慣について紹介します。

・食事は腹八分目までにする…満腹になるまで食べるのではなく、腹八分目にすることでカロリーの過剰摂取による体の糖化を防ぐことができ、老化の抑制が期待できます。ただし、食事を減らすことで栄養が偏らないように気をつけましょう。

・食べる順番を意識する…血糖値を緩やかに上昇させるためには、最初に食物繊維を含んだ野菜、次に肉や魚のたんぱく質、最後にごはんや麺などの炭水化物の順番で食べるのが理想です。

・エイジングケアに効果的な食べ物を摂取する…たんぱく質や野菜は体の酸化を防ぐ抗酸化作用があり、豆腐や納豆など大豆イソフラボンを含んだ食品はホルモンの働きを補う効果があります。

生活習慣を整えることで体の内側からケアができるので、女性だけでなく男性にも効果的です。
食生活を見直し、冬の乾燥に負けない肌をつくりましょう。

                           管理栄養士 R.Y

※イラスト:イラストAC

栄養科通信vol.189 「食育クッキング参加報告」

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8月5日(土)に「あゆみの会食育クッキングin就実女子大学」に参加してきました。小児がんを克服した子どもは放射線治療などの影響で将来生活習慣病になりやすいと言われています。その予防のため、健康知識をつけたり、調理への苦手意識をなくしセルフケア力をつけてもらおうという取り組みで、去年に引き続きレシピ提供とクッキングに参加しました。今回のレシピは、とん平焼き、トッポッキ、フルーツロールで、どれもライスペーパーを使った簡単メニューでした。低学年の子どもさんが多かったのですが、就実女子大学の学生ボランティアさんがひとりひとりを担当してくれて、無事に調理を終えることができました。試食の後は学生さんによる健康マスターになれる講義もありました。調理って簡単だな、自分でも野菜たっぷりレシピを作ってみようかな、と思ってもらえていたらいいなと思います。これからも皆さんの健康づくりのお手伝いができるよう、管理栄養士として頑張っていきます。

この様子は、8/5(日)山陽新聞デジタル、8月6日(月)の山陽新聞にも紹介されました。

栄養科 管理栄養士 A子

 

栄養科通信vol.188 「6月は食育月間」

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毎年6月は「食育月間」です。食育の基本的理念を定めた「食育基本法」が2005年6月に制定されたこと、また新学期・新生活がはじまって身辺が落ち着き始め国をあげて取り組みやすい時期ということで6月が選ばれたそうです。また、毎月19日は「食育の日」です。食育の「育 (いく)」が「19」を連想させることに由来します。

食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。生涯にわたって「食べる力」=「生きる力」を育むことが重要と言われています。

食育で育てたい「食べる力」

①心と身体の健康を維持できる
②食事の重要性や楽しさを理解する
③食べ物の選択や食事づくりができる
④一緒に食べたい人がいる(社会性)
⑤日本の食文化を理解し伝えることができる
⑥食べ物やつくる人への感謝の心

日常生活の中での具体的な食育の取り組みとしては以下の12項目が挙げられます。子どもから大人まで誰にでもわかりやすく発信するため、ピクトグラムも作成されています。

食育月間の期間中は、全国規模の行事として食育推進全国大会(今年は富山県で開催)が開催されるほか、全国各地で食育をテーマとした多くの取組やイベントが実施されます。

食育と聞くと難しく聞こえますが、食に関して正しい知識を持ち、適切に選択する力を身につけることも食育の一つです。健全な食生活は、生きる喜びや楽しみ、健康で心豊かな暮らしにつながります。一人ひとりが食について意識を高めていくことで、自分にとって望ましい食生活を考え、実現できる力を身につけていきましょう。

「食育月間」や「食育の日」を機会に、日常生活の中での取り組みを参考に、出来ることから食育を始めてみませんか。

管理栄養士 MS

参考:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/gekkan/